協力会社が必然的に多くなる沖縄
そのネットワークをまとめる秘訣とは

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協力会社が必然的に多くなる沖縄
そのネットワークをまとめる秘訣とは

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by builders_user

サイアスホーム株式会社
情熱施工課
島袋 力 氏

沖縄県沖縄市の「サイアスホーム」は、RC造の平屋住宅をメインに業績を伸ばしている住宅会社です。今回お話を伺った情熱工務課課長の島袋さんは、情報収集のために訪れた他県の建設会社で業務効率化のシステム(ANDPAD)を知ることになります。沖縄という特殊な市場で成長を続けるサイアスホームの業務改善に最適だと直感的に考え、ANDPADの営業と会うことなく導入を決定した経緯とは?
また、沖縄の独特な環境も起因し、ふつうの建設会社に比べて協力会社が多い中、どのように導入を進めたのか?どのような課題や困難があったのか?今後どのように活用をしていくのか?ANDPAD導入の推進者である島袋さんに詳細なお話を伺いました。

事業成長のベースとなった
WEBマーケティングへの取り組み

今期で43期目となるサイアスホームですが、丸山建設という会社で経理を担当していた金城(現サイアスホーム代表取締役社長)が、そこから独立するようなかたちで今のサイアスホームを立ち上げました。

公共工事が主力事業だった丸山建設とはうって変わり、戸建て住宅をメインの事業としてスタートすることとなります。当時、大きく舵を切った理由として、公共事業よりも戸建て住宅の方が施主やユーザーをより近くに感じることができるという話を金城が社内でよくしていますね。

私が、そんなサイアスホームに入社したのは、2010年12月です。私は、前職も建設業です。より大きな工事に関わりたいという気持ちもあったのですが、面接時に金城から「いろいろなことに挑戦し、沖縄に良い住宅を増やしていこう」という話があり、その言葉がとても魅力的に感じられたため転職を決意したという経緯です。

当時の社員数は、社長を含めてわずか8人という小さな組織でした。それからおよそ9年が経ちましたが、今は40人を超えています。人数が増えているということは、その分お客様より仕事のご依頼いただいているということになりますが、そのように業績が順調に伸びてきた大きな要因の一つはインターネットを使った集客にあるかと思います。代表の金城がWEBを活用したマーケティングについて以前からかなり注目しており、そこに力を入れてきたことが順調な成長につながったのではないでしょうか。

具体的にいうと、WEBホームページの有効活用です。スタッフ紹介やお客様からのお手紙など新しい情報を常に発信できるように心がけており、その結果としてWEBサイトへの訪問がとても増えました。完成見学会の開催告知などもホームページ上で行っています。写真の撮り方はもちろん、デザインにも気を配っており、そういった地道な努力がお客様に評価されているのかもしれません。
大変ありがたい話ではありますが、現在はイベントの告知をするとお申込みが集中してしまうため、開催をセーブせざるをえないこともあるほどです。こういった集客力が当社の特徴の一つかもしれません。

WEBサイトに関しては月1回の定例会議を開催し、マーケティング担当者を中心にさまざまな角度から分析をしています。当たり前かもしれませんが、分析でわかるのはホームページの更新が滞ると閲覧数が激減するということ。原因は明確なので、そうならないように現場やお客様の情報共有など社内連携をしっかりと行うようにしています。

お客様へのわかりやすさを徹底
定額制の価格設定

先ほどもお話しした通り、当社の住宅着工数は堅調に推移しています。県外からの移住者が増えており、その方々が新築の住宅を希望されていることも一因になっています。サイアスホームがカバーする営業エリアも拡大を続けており、沖縄の離島を除けばほぼ全域からお問い合わせをいただいています。

サイアスホームの特徴として他社と大きく違うポイントは、定額制のプランを採用していることになります。平屋は3種類、2階建ては2種類の標準仕様があり、その中から更に細かいご希望を合わせて選択していただくと施工金額が一目瞭然で確認できるという仕組みです。

透明性の高い定額制プランを設定し、その内容を理解いただくためのマーケティング活動を積極的に行ってきたこともあり、当社ではお客様から値引き交渉の話が出ることがほぼありません。このあたりもサイアスホームの大きな特徴かもしれません。値引きではなく、もうちょっと工夫したいというご要望をお持ちのお客様には、オプションという形式で対応をさせていただいています。標準仕様の価格に上乗せするシステムです。

沖縄の特殊なマーケットと住宅種別

当社の特徴に関する別の話をする前に、沖縄という独特なマーケットについて少し補足ができればと思います。 かつての沖縄は木造瓦葺きの住宅が主流でしたが、現在はRC住宅がメインです。現在の沖縄市場でいうと、7割以上がRC住宅だと思います。その理由は、沖縄の強い台風にも負けることなく、沖縄に多いシロアリのリスクも回避できるというメリットが大きいからです。

沖縄には「平屋」が多いのですが、それにも理由があります。当社も基本的には平屋をお勧めしており、受注の7~8割が平屋住宅となります。当たり前の話ですが、平屋の方が多い理由としては、そのリーズナブルな価格設定となります。2階建てとなると柱と梁を組み合わせたラーメン構造のRC造となり、平屋と比べて価格がかなり高くなってしまいます。そのため、お客様が十分な広さの土地をお持ちであれば平屋をお勧めさせていただいています。

また、沖縄では子どもたちが独立した後、親世代は1階だけで生活するようになりがちで、2階は倉庫代わりとなってしまうケースが多いという背景もあります。それではもったいないということもあり、平屋を推奨しています。 近年は、耐震性やシロアリ対策の技術が向上したことから、木造住宅を選ぶお客様も増えてきました。私自身はRC造の住宅で暮らすのが普通だったので、木造住宅の依頼があると不思議な感じを受けますね。

数多くの協力会社とのコミュニケーションが必須
その解決手段となるITとの出会い

こういったマーケットの特性もあって、当社の主軸はRC造の平屋となりますが、木造の住宅建設と比べると協力会社の数は格段に増えます。施工を依頼した会社からさらに枝分かれすることも多く、連絡事項を伝えるだけでもかなりの時間がかかります。

もっとも面倒だったのが、施工現場の地図を協力会社に配布することでした。FAX送信で簡単に終わるケースもありますが、プリントアウトした地図を当社まで取りに来てもらうケースもあります。我々がプリントアウトする手間よりも、なにより協力会社の方々の移動時間がもったいないと感じ、申し訳なく思っていました。

そんなことを考えていた際、とある出会いがありました。当社では、県外の建設会社へ訪問し、勉強・情報収集する機会を設けています。そんな機会の中で、静岡の建設会社に訪ねた時の話となりますが、その際に「ANDPAD(アンドパッド)という施工管理システムを導入した」という話を伺います。参考になればと思い、その中身を見せてもらったのですが、すぐに「これなら現場の地図など簡単に共有できる」という考えに至りました。

当社には「最高の効率を追求する」という企業理念があります。この理念に基づき、一人ひとりの生産性をいかに向上させるかをいつも念頭に置いているのですが、そんな折、このANDPADというアプリケーションと出会いました。社内外の多くのスタッフと瞬時に情報共有できるのであれば、その理念が実現できる。そう、考えたのがはじまりです。

ANDPADを導入する大きな理由の一つは価格です。新しいシステムの導入は、やってみないとどうなるかわからないといった不安点があります。「職人さんに使ってもらうのが何より難しい」という話も聞いていたので、もし仮に導入が上手くいかなかったとしても、大きな痛手とならない費用で導入できるANDPADを選びました。社内の了承を得た後、まずは利用者数30名という最も安いプランで導入します。すでにある程度の機能を実際に見ていたこともありますが、ANDPADの営業スタッフと実際に会うことなく、電話の会話だけで導入を決めました。

まずは社内のスタッフで使ってみたところ、「このわかりやすさであれば、社外の協力会社の方々にも使ってもらえる」と早いタイミングで判断し、すぐに利用者数を130名まで拡大しました。先ほどの施工現場情報の共有やチャットでのコミュニケーション機能などを有効的に使ってもらおうと考えたからです。

導入時の困難と今後について

ITに疎遠な協力会社もあります。中にはメールを使っていない会社もありました。そういった会社には、メールアドレスを設定するといったところからサポートするようにしました。

あまりITに関心が高くない協力会社の代表者にこそANDPADを使ってほしいと考えているのですが、そんな肝心な代表者に敬遠されることもあります。そんな場合は、その社内でITに強そうな人をまずは巻き込むようにしています。その方をフックとして、メリットを実感していただき、同僚や上司、代表者へと徐々に利用者を広げていく方法をとっています。

また、導入当初は、協力各社の方々から「どこを見ればいいのか?」とか「図面を探せない」といった問い合わせも数多くありました。こうしたやり取りに対して丁寧な対応を根気よく続けた結果、導入から3か月くらいほどの期間を経て、なんとか使えるようになった気がします。

ANDPADの機能性を考えると、まだまだ使いこなしているとは到底いえない状態です。本来であれば、施工現場の関係者間でキャッチボールできるのが理想です。変更箇所を伝えた際に「そこは、こうしましょう」といった提案を返してもらうことが理想形ですが、まだまだその状態にはありません。

データの閲覧記録を確認すれば、各担当が見たこと自体は確認できますが詳細の内容を本当に理解したのかまではわかりません。今後は、チャット機能などを有効活用し、そのあたりの改善をしていこうと考えているところです。

社内では工務課と設計がANDPADを積極的に活用しています。現状の具体的な利用方法としては、「写真」と「資料」の管理・保管機能を積極的に活用するようにしています。この中に図面のデータを落とし込み、施工に関わる社内外すべてのスタッフと共有しています。

他にも「作業工程をしっかりと管理したい」という意見が社内で出てきたので、その作業を進めています。着工直前にならないとスケジュールが出てこないこともあるのですが、そのような状態では工事全体の流れを把握できなくなってしまいます。その課題を解消するため、工務課や設計主導でANDPADの「工程表」機能を活用しようと取り組んでいるところです。

また、ANDPAD導入に伴い、現場監督の仕事内容にも変化が出てきました。現在、進めているのは分業化です。以前の現場監督は、施工現場の監督業務をはじめ、施工図面のチェック、予算書や注文書の作成といった事務処理までを行うなど、かなり多忙な日々を過ごしていました。

今は、ANDPADを使って諸々の情報が共有できるようになったので、それらの事務作業を社内スタッフにも振り分けられるようになりました。結果として、監督たちは現場の業務に注力できるようになっています。

今後の取組みについてですが、施工現場に常設のカメラを設置することにも挑戦しています。ご想像通りですが、職人さんは嫌がりますね(笑)。「なんで監視カメラを置くの?」と。しかし、その導入によるメリットをお互いがしっかりと理解できれば実現は可能だと思います。それができれば、今まで以上に業務の効率化につながり、品質の向上、ひいては顧客満足度のアップまでつながるのではないかと思います。

当社の5年後に向けた目標ですが、竣工棟数、売上ともに大幅増を計画しています。そして、沖縄県内の住宅建設企業として最もお客様に評価いただけるようになれればと思っています。自身が今まで以上にリーダーシップを発揮しつつ、ITの導入によって業務効率化が実現できれば決して難しい目標ではない、そう信じています。

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この記事はBuilders Tech編集部により作成されました。