必ず良くなるという信念が現場を動かす

必ず良くなるという信念が現場を動かす

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by builders_user

リストコンストラクション株式会社
建設部 リフォーム・アフター課 課長
西表 信博 氏

リスト株式会社
広報部
市原 奈津美 氏

1991年に設立されたリスト株式会社(現リストデベロップメント株式会社)は、横浜エリアを中心に不動産仲介事業を展開。2010年には世界最大級のオークションハウス「サザビーズ」を起源とする不動産仲介ブランド「サザビーズ インターナショナル リアルティ®」の国内独占営業権を取得。そして、2016年にはホールディングス体制に移行し、不動産に関するあらゆる事業領域を一貫して手がけています。2017年には施工管理アプリ「ANDPAD」を導入し、施工現場状況の共有や業務効率化を進めてきました。現場監督や職人から反対の声があがる中、どのようにANDPADの社内浸透を行なったのか。ANDPAD導入の中心人物である西表さんと市原さんにうかがいました。

世界展開を進めるリストグループ

市原さん:
当社は、横浜を中心に不動産仲介事業を展開する会社として1991年に創業しました。事業が堅調に成長したこともあり、2016年に持ち株会社に移行し、現在はリスト株式会社の下に6つの事業会社が存在します。

リストグループの中で、事業の中核となるのは「リスト サザビーズ インターナショナル リアルティ」の不動産仲介事業になります。オークションで有名な「サザビーズ」を起源とする不動産仲介ブランド「サザビーズ インターナショナル リアルティ®」の国内独占営業権を取得したのをきっかけに、海外でも事業を幅広く展開しています。

リスト株式会社 広報部
市原 さん

当社の事業会社のひとつとして戸建住宅の建設やリフォーム事業を担当しているのが、これからご紹介させていただくリストコンストラクション株式会社です。その中で、ITの導入を積極的に推進したのが西表(いりおもて)になります。

ITシステムの導入を決めたのは
ITとは無縁のキャリアを歩んできた西表氏

西表さん:
苗字でおわかりかもしれませんが、私の生まれは沖縄です。高校までは野球ばかりして過ごし、卒業後は自衛隊に入りました。10年ほど在籍しましたが、主には埼玉県で物流業務に従事していました。

リストコンストラクション株式会社 建設部 
西表さん

そんな建設とはまったく関係ない人生を歩んでいた私ですが、実を言うと父親が大工をしており、その影響からか木の匂いがとても好きでした。当然ながら住宅建設にも興味を持っており、建築を扱ったテレビ番組や雑誌を見てはワクワクしていたことをよく覚えています。

自衛隊を離れることになり、その後の生活をどう過ごすかを考えていたところ、知人から横浜市の上大岡(かみおおおか)という街を薦められます。当時の上大岡は、横浜市内でも大きめの再開発エリアに指定されていた場所です。そんな場であれば幼少期に憧れていた住宅建設にも関われるかもしれないと思い、それほど深く考えずに横浜へ引っ越しました(笑)。そこで求人誌を購入し、さっそく「見習い監督募集」の文字を見つけるのですが、その求人を出していたのが今の勤め先であるリストコンストラクションという会社です。そうした縁もあり、1996年に同社へ入社することとなりました。

入社後は、不動産の営業を経験した後、建設事業部、品質管理部にて経験を積み、20年以上にわたって現場監督およびアフターフォローを担当しました。施工の現場業務に20年以上も携わっていると、お施主様からリフォームについて相談されることも多くなります。そういったユーザーの声をしっかりと受け止めたいという思いから、リフォーム事業部の立ち上げを希望し、現在はその部署で業務を行なっています。

おかげさまでリフォームの問い合わせは増えています。施工物件のアフターフォローで訪問した際にお客様のご意見をしっかりと伺いながら、「もうちょっとこうしたい」といったささやかなご要望にもしっかりと応えていきたいと考えています。

職人同士の結束も強めるリストの文化

西表さん:
かつての不動産業界は「売ったら売りっぱなし」という感じで、お客様の考えや想いは二の次とされてしまうような雰囲気がありました。こうした状況に対して、北見(リストグループ代表の北見尚之氏)は「そのような業界の常識や慣習を変えたい」という強い意志を持っていました。

市原さん:
また、北見が現在にいたるまで言い続けてきたのは「地域を大切にしないと成長できない」ということです。創業時から地域とのつながりを大切にしており、地元の皆様から信頼を得ることができたために会社が成長してきたという経緯があるためです。

西表さん:
地元のお客様から信頼を得た要因は3つあると考えています。
1つ目は、家を建てたら終わりにするのではなく、お客様のことをしっかりと考え、アフターフォローやメンテナンスまで徹底的に行なっていることです。「List365(リストサンロクゴ)」という制度があるのですが、それは当グループと契約を結んだお客様に対して、24時間365日間、メンテナンスから家計や健康相談まで多角的に対応するサービスになっています。

2つ目は、北見の考えが社の文化となり、それが会社の隅々まで浸透していることです。簡単に言ってしまうと、礼儀正しくあること、元気良くあることです。例えばですが、だらしない格好や長髪、髭はダメですし、禁煙も暗黙のルールになっています。北見は「これまでのような不動産屋ではいけない。礼儀正しく、爽やかあるべき」と事あるごとに話しています。

最後の3つ目は、外部協力会社や職人のチームワークのよさです。本来、建築現場で働く職人同士の仲はあまりよくなりません。職人気質が強いため自分の仕事には集中するけれど、それが終われば後は気にしないという理由もあるかもしれません。

当社にはすべての職人が加入する「リスト安全協力会」があり、安全性や品質の向上を目的とした研修会などを開催しています。こういった場に北見が出れる時は、参加された全ての方々にお酌をしてまわったりします。仕事を与えているという上から目線はまったくなく、会社と職人は対等の関係だと本当に考えているからです。

大切にされていると感じた職人は、自分が担当する工程だけでなく、現場全体を見ながら仕事をしてくれるようになります。チャットなどのツールを活用し、職人同士が現場の状況を確認し合い、自分の後に作業を行う職人に対しても気を遣ってくれます。そうなると、たとえ現場監督が不在になってもしっかりと仕事がまわります。それくらい職人同士のチームワークはいいのではないでしょうか。

ある職人の方からは「リストの現場は安心できるんだよね」と言ってもらえたりもします。そういう言葉は本当に嬉しいですね。職人同士の良好な関係性は、当社の大きな特徴のひとつになっていると思います。

IT化の遅れは致命的と考え
社内の反対意見を押し切る

市原さん:
まずグループ全体の話をさせていただくと、リストグループではIT機器やサービスを積極的に導入しています。たとえば、不動産仲介業務ではVRで内覧できるシステムを取り入れたり、新築戸建て住宅や賃貸物件にIoT(モノのインターネット)機器を導入したりしています。今後も、その流れをさらに加速させていく方針です。

西表さん:
その流れからすれば当然の話ですが、リストコンストラクションでも以前からIT機器を活用していこうという気運がありました。 また、今回お話させていただく現場効率化システムの導入以前においても、大手ゼネコン各社がIT機器を現場で活用しているといった情報を耳にしたとき以来、私自身もずっと「ITを早急に導入すべき」という焦りに駆られていました。

そんな折、リフォーム業界紙に載っていたANDPAD(アンドパッド )の記事を私が目にして興味を持ったことが、当社が本格的なIT化に舵を切るきっかけとなります。さっそく運営会社のオクトに連絡してサービス詳細の話を聞いてみたところ、その導入は必要不可欠と確信し、すぐに新築・リフォーム・アフターの3チームにANDPADをインストールしたiPadを導入できるよう社内提案を行いました。

現場を効率化できるのですから「それ、いいね!」と皆が喜んでくれると当然のように考えてました。しかし、早々に現場監督のリーダーをはじめとした何人かに「無理」と反対されてしまいます。 諸々あった後に導入するかどうかを多数決で決めることとなったのですが、そこでも意見は真っ二つに割れてしまいました。

非常に迷いましたが、最終的には私の一存で導入を強行しました。いまITを導入しなければ業界内で遅れをとってしまうという焦りと、ITで絶対に現場が良くなるという思いの強さからでした。

導入必須と考えた写真撮影機能

西表さん:
ANDPADの一番の魅力としては、図面や写真を簡単に整理できることです。
それまでは各現場監督が印刷した大量の図面を持ち歩き、修正が入るたびに印刷し直していました。写真の処理も非効率でした。だいぶ昔の話ですが、使い捨てカメラで撮った写真を本のアルバムを使って整理・保存していたことは皆さんもあったかと思います。


それがデジタルカメラに切り替わり、現像の手間を省くことができ、撮影枚数も気にせずに撮れるようになったものの、今度はその写真データが溜まるばかりです。写真データをカメラからパソコンに移し替えるといった作業も手間ですし、データが移行されずにデジタルカメラ内に残ったままということも度々発生していました。

後日まとめて処理するとなると「どの写真がどの物件のもの?」と分類する作業まで増えてしまいますし、リアルタイムで皆に共有することもできません。ANDPADの写真撮影機能を使えば、撮影した写真を物件ごとに格納し、リアルタイムに社内外と共有できるため、もろもろの懸念事項がすべて解消できると思いました。

当たり前の話ですが、現場の写真は非常に重要です。物件完成後にトラブルが発生した際、壁の中の構造材などに瑕疵がないかといった情報をお客様に証明しなくてはならないからです。幸いにも、当社ではこの種のトラブルが発生したことはありませんが、そういった事態も想定し、あらゆる準備をしておくことが必要だと考えています。

社内スタッフが使えば使うほど
外部の方も使ってくれるようになる

西表さん:
写真機能だけでなくチャットや資料格納など様々な機能が優れているため現場が楽になると確信していました。しかし、先ほどもお話ししたとおり、社内導入後すぐに利用率が上がり、モチベーションも向上するかと考えていたら、これが全然上がらない。ANDPADがインストールされたiPadを数ヶ月にわたって会社に置きっ放しにする監督もいたほどです。

そんな風向きが少しずつ変わったきたのは、社内各部署でANDPADが使われはじめたあたりからです。情報の一元管理やチャットによるコミュニケーションなど使ってみると便利だということを皆が実感しはじめ、その情報が社内に広がっていきました。私から現場に対して働きかけを行うよりも先に「どうして全ての現場監督がANDPADを使わないんだ?」という話が社内から出てきたのです。

現場では、リフォームチームがもっとも早くANDPADを使いはじめてくれました。リフォームの場合、一つの現場に関わる外部協力会社が少ないため、一社一社に操作方法を丁寧に教えることができたことも良かったのかもしれません。

そして、社内各部署やリフォームチームがすでに使いこなしているという事実をもって、新築およびアフター担当の現場監督を私が説得し続けたという経緯です。それだけやっても全ての現場で使いはじめるまでには結構な時間がかかりましたが、現在ではすべての現場監督が率先してANDPADを使ってくれています。

そのプロセスの中でわかったことがひとつあります。それは、まず社内スタッフが率先して使わないと外部の協力会社や職人さんは動かないということです。積極的に使用し、本当に便利だと実感して、はじめて相手に意思が伝わるんです。

その甲斐あって、外部協力会社で構成される「リスト安全協力会」の方々も最近ではANDPADの良さを認めてくれています。とても、うれしかったですね。安全協力会の役員の方も職人の皆さんに対して「現場の写真をANDPADにアップしておいて」とすすんで話をしてくれています。この流れが続けば、現場情報の共有や効率化は更に進むと期待しています。

IT活用が進む建設業界
さらなる利便性の向上が必須

西表さん:
当初は拒否反応を起こしていた現場監督も今では率先してANDPADを活用しています。それでもときおり「面倒」といった意見が出ることもあるので、現場レベルではまだまだ使いにくい機能があるということかもしれません。ソフトウェアがバージョンアップした際は説明会を実施し、その中で意見を交換し、より利便性を高めていくのが大事だと思います。
個人的な要望としては、図面の書き込みをもっと容易にしてほしい。図面の取り込みも時間がかかるし、修正を入れるのも手間だったりします。ここを改善してほしいと考えています。

市原さん:
不動産・建設業界はまだアナログな部分が多くあります。そういう意味では、ITを取り入れることで変わっていく余地が大いに残されています。
当グループではANDPAD以外にも、マーケティングオートメーションのMarketo(マルケト)を導入するなど新たなITを積極的に採用した結果、業務の効率化が進み、それが成果につながってきていると実感しています。今後もこれまで以上に積極的にITを活用することで運用の効率化につなげ、お客様へ満足のいくサービスを届けていきたいと考えております。

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この記事はBuilders Tech編集部により作成されました。