SSOT(Single Source of Truth)を実現する
世界No1のBIMデータプラットフォーム

SSOT(Single Source of Truth)を実現する
世界No1のBIMデータプラットフォーム

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by builders_user

BIMobject Japan株式会社
代表取締役社長
東 政宏

<プロフィール>
野原ホールディングス株式会社(当時は野原産業株式会社)へ入社後、サッシの営業職を経験。営業担当時に好成績をおさめ、その後に新規事業関連の部署へ異動し、新規事業を構想を練りながら、当時新商品であったオリジナル再生木ルーバーの拡販も担当。再生木ルーバーの拡販において、WEBサイトの立上げやWEBマーケティングに関わり、ITが持つポテンシャルを実感する。その過程でBIMの将来性やグローバル企業の事業展開スピードに可能性を感じ、BIMobject(ビム・オブジェクト)社との提携を経営陣に提案し、同社初となるグローバル企業との提携を実現。その日本法人であるBIMobject Japanの代表取締役社長に2017年12月に就任した。

ITや英語とは無縁のキャリアから
IT最先端のグローバル企業の社長へ

まずは、私の経歴からお話しします。今でこそITを活用するグローバル企業の日本法人社長をしていますが、以前はITに関しての知識もあまりなければ、英語も大の苦手、海外旅行にもいかないくらい海外には縁遠い人間でした。

それが今はヨーロッパやドバイなどで開催されるBIMobject社のグローバルな営業会議など、様々なミーティングに出席しています。私自身、この数年は今までの経歴からは想像もできない経験や体験を凝縮した時間を過ごしているので、まるで別次元で、新たな自分というか新たな人生が始まっているような不思議な気持ちになります(笑)。数年前には考えられなかったことですので。人間、そういう場に放り込まれれば何とかなるもんだなと実感しています。

私のキャリアを簡単にお話しすると、野原ホールディングス(当時は野原産業)に入社してすぐにゼネコンをお客様としたサッシの営業を経験しています。その後、新規事業に関連する部署に2014年より所属することとなり、自身の新規事業の構想とともに、当時は新商品であった再生木ルーバーの拡販を担当しました。

再生木ルーバーについては当初、営業担当1名と新入社員1名に、サポートで私が参加していました。当時の営業方法というのが昔ながらの営業スタイルで、顧客リストから片端しに電話をかけていくというものでした。電話での営業はお客様となる設計士さん等の状況を考えず、こちらからの一方的な商品説明となりがちです。結果的に、お客様の貴重な時間をも奪ってしまっていると痛感しました。

この時の経験や考え方がきっかけとなり、WEBサイトやBIMを活用した商品提案につながります。「お客様の貴重な時間を奪わず、最適なタイミングで商品情報を届ける」これを実現することでお客様と営業双方がWin-Winな関係を築けると思いました。そして、「更により良い効率的な方法があるはず」という考えから、WEBサイトを活用した営業およびWEBマーケティングを積極的に試すこととなります。それが私がITに本格的に触れたきっかけです。

「非効率な電話だけの営業には戻りたくない!」という思いも強かったのかもしれません。40万円ほどの予算を使い、知人に相談し、徹夜などもしながらWEBサイトを作成しました。作成当初はアクセスが少ない状態もありましたが、1年ほど経過するとWEBサイト経由での問合せが増え始め、WEBサイトだけで仕事が取れるようになります。

WEBページ経由の問合せは成約率も高く、無駄も少なかったため、非常に高い費用対効果を生み出すことができました。当時、建材のマーケットでは競合他社がそこまでWEBマーケティングを強化していなかったように思います。そのあたりの環境も結果に影響したかもしれません。

そんな予想もしていなかった成果も自信となり、ITやデジタルマーケティングの可能性を私自身も強く感じはじめ、どんどんとその世界にのめり込んでいきます。

BIMobject社との提携

その後、野原グループは20年後に向けた中長期経営計画を立案することになるのですが、お話しした通り、IT・デジタル領域に大きな可能性を感じるようになっていた私は、BIMビジネスへの参画を経営陣に提案し続けていました。「BIMのデータライブラリを自社でつくる」、そのようなアイデアも野原グループが今まで培ってきた流通チャネルを活かせば確実に実現できると考えていました。

しかし、実際に検討をはじめてみると2つの事実がわかります。ひとつは、BIMのデータライブラリを自前でイチから用意するにはかなりの予算がかかること。もうひとつは、世界では既にBIMobject(ビム・オブジェクト)社が世界ですでに圧倒的なシェアを握っており、それに対抗するにも莫大な予算や時間が必要になるということでした。

その結果、グローバルのシェアトップであったBIMobject社と組んだ方が野原グループ全体の事業展開が速くなると考え、提携検討からわずか半年後には合同で会社を設立する運びとなります。

野原グループが事業の柱としている考え方である「グローバリゼーション」「デジタライゼーション」「イノベーション」という3つのコンセプトと合致したことも提携が決まった大きな要因のひとつでした。

また、BIMobject側としても我々が培ってきた1000社以上のネットワークや創業420年を超える歴史が、日本という独特なマーケットで事業を展開するにあたって大きな役割を担えると考えたようです。世界的にも高いクオリティを誇る日本の建材や部材であれば、世界中の建設関連企業や施主・ユーザーから高い要望があるとも考えていたでしょう。加えて、プラットフォームを運営するのに重要な中立性、公平性を担保できる素地があると考えられたことも提携先として評価された要因だと思います。

当然ながら、あっさりと提携や日本法人設立が決まったわけではなく、その過程はけっこう山あり谷ありといった感じでした。もちろん、自分だけで進めることは不可能であり、全面的にサポートしてくれた野原グループの会長や社長のおかげでもあります。

正直にお話ししてしまうと、全てはSNSでのコミュニケーションからはじまりました。SNS経由でBIMobject側にメッセージを送ったところ、「同じような想いやジビョンを共有しているので、ぜひ一緒にやりましょう」といった感じの返答があり、そこから条件面での交渉等がはじまったという流れです。

その後、2017年12月に会社を設立し、2018年2月にはスウェーデン大使館でオープニングイベントを行なうことになるのですが、検討からわずか半年という期間しかなく、そこまででけっこうなパワーを使い果たしてしまいました(笑)。

BIMobject Japanの組織について

ちなみに、現時点での日本法人の従業員数は8名です。ほぼ全員がキャリア採用となります。BIMobject社自体がスウェーデンに本拠地を置くグローバル企業のため、社内公用語は英語です。社内メールもほとんどが英文なので、英語力は必須です。また、世界的にもITが進んだ企業でもあるため、ITリテラシーを常に高めていくことが必要です。

しかし、英語、IT、建材、マーケティングなど全ての知識や経験を持った人材となると、日本ではまだまだ少ないのが実情です。結果、外国籍の方も多く、ダイバーシティに富んだ組織になります。 各メンバーのバックグラウンドは様々ですが、BIMが共通言語になっています。

世界No1のBIMデータプラットフォーム
BIMobjectができるまで

さて、ようやくになりますが、BIMobject社とその提供しているサービス内容についてご紹介できればと思います。BIMobject社は、BIM用だけでなくVR・AR用の3Dデータなどの情報を提供している企業です。全世界で事業を展開しており、設計士などのユーザー数は140万人以上、建材などのデータを掲載しているメーカーやブランド数は1500社を超えます。BIMデータを扱う企業として、世界No1のシェアを誇る会社です。

BIMobject社がここまで大きくなった理由としては、創業者であるステファン・ラーション(Stefan Larrson)の存在があります。彼は、BIMデータはどこかひとつの場所に統合されるべきだと考えていました。いわゆるSSOT(Single Source Of Truth)、「正しいデータは常にひとつ」といった考え方です。

この考え方を実現するために、彼はBIMobject社を立ち上げ、ヨーロッパでシェアを高めると、オートデスク社のBIMソフトウェアであるRevit(レビット)のデータライブラリを統合してしまいます。ほんとにすごい推進力です。そのようなプロセスを経て、非常に短期間の間に世界No1のBIMデータライブラリの構築を行いました。それが創業から現在に至るまでの経緯です。

BIMobjectが提供するサービスとは?

われわれが提供しているプラットフォームでのサービスはツーサイドがあります。一つは設計士を代表とするユーザーを対象とするサービス(オブジェクトデータの無料ダウンロード)、もう一つは建材メーカーを対象としたデジタルマーケティングサービスです。さらに後者は大きく分けると2つの機能があります。ひとつは、各社が持つ建材・部材などの商品をBIMデータとして掲載できるプラットフォームの運営、データ管理です。もうひとつは、その掲載データを応用したマーケティングツールとしての役割です。

メーカー各社は、BIMobjectに商品データを掲載することができますが、その過程でRevitやArchiCADなど様々なソフトウェアの仕様に対応できるようにデータを変換し、必要に応じて加工しなくてはなりません。最近では、オートデスク社の3dsMaxやFBXといったVRやAR用のデータも必要になってきています。それをサポートするのが、ひとつ目のサービスです。BIMobjectは、そういった最先端のソフトウェアに対してもデータを変換する技術やツールを所有しています。

BIMobjectでは商品掲載数に制限はありませんが、掲載されたデータが各種BIMソフトウェアに対応しているかどうかを事前に確認しておかなくてはなりません。そうでないと実際の場面で使用することができなくなる可能性があるため、それらの確認が必要な際にクライアント企業よりサービス料をいただいています。

一方で、BIMobject上に正確な商品データを登録しておき、API(アプリケーションプログラミングインタフェース)を使って自社ホームページ等に接続しておけば、それぞれのページで商品データ情報を更新することがなくなり、オペレーションが非常に楽になります。
先ほどもお話ししたSSOT(Single Source Of Truth)、「正しいデータは常にひとつ」という当社のこだわりによって実現できる世界です。

大手メーカーなど、商材のデータをつくってはあるものの、それらを公開する場がなくて悩んでいたりするケースがよくあります。各社が自前で商材データの公開用WEBサイトを用意するのは大変ですし、そのWEBサイトのリーチを拡大するためにマーケティングするのは更に骨が折れます。そういった大変な作業もBIMobjectであればすぐに実現できる。そういったサービスも我々が誇る事業のひとつです。

マーケティングツールとしてのBIMobject

もうひとつのサービスとして、マーケティングツールの提供があります。BIMobjectに登録された商材には、常に世界中のユーザーからのアクセスが発生します。それによって、どのエリアの、誰が、どの商材に、何のソフトウェアでアクセスしたか?といったマーケティングに必須となる情報を収集することができます。

海外展開を検討しているメーカーからすると、現地訪問しての市場調査も必要なくなりますし、時には営業活動をほとんどしない状態で商材の受注が決定したりするケースもあります。

海外で新たな市場開発を行うとすると、市場調査や営業部隊の派遣など多額の費用が発生します。しかし、BIMobjectのマーケティングツールであれば年間300万円ほどの予算でグローバル市場の情報を取得し、市場開拓のきっかけをつくることが可能になります。

既にBIMobjectのマーケティングツールを活用していただいている日本企業の中には、東南アジアでトップクラスの設計事務所からのアクセスがきっかけとなって商材を受注し、ツールの導入費用をはるかに上回る売上をつくった例も出てきています。

弊グループの再生木ルーバーで実際にあった事例をお話しすると、まったく期待していなかったブラジルからルーバー商材へのアクセスが多数発生し、香港からは実際に問合せがあり市場への事業展開を検討するに至ったということもありました。

また、各国ごとに何のソフトウェアが最も使われているかといった傾向も把握できるため、その情報にあわせて該当のBIMデータを作成するといったことも可能です。たとえば、ベトナムではRevitが弊社ユーザーの44%とトップシェアを占めていることがわかります。

その事実がわかれば、日本企業がベトナムへ進出する際、現地で最も多く利用されているソフトウェアから順にデータを準備しておく等のプランニングがスムーズに行えます。世界展開を検討しているメーカーにとっては、新規市場開発エリアの検討材料として非常に有効的に使えると考えています。

日本の課題

BIMobjectに掲載されているデータを使う側の設計士などのユーザーサイドの話をさせていただくと、欧米などの海外では施工の際にBIMデータが必須なエリアも増えているため、大手企業の設計者がユーザーとなるケースが多いです。

一方で、BIMを将来的に確実に必要となる情報と考え、日本各地の中小企業に所属している設計者などがユーザーとして登録する例も着実に増えています。ユーザーの属性としては約半数が、設計者や建築家などアーキテクトとされる方々であり、残りの半数はインテリアデザイナーなど多岐の職種に渡ります。

日本のユーザー数は、BIMobject Japan設立から1年ほどで2倍ほどに増加しましたが、日本の建設投資額やGDPを踏まえると、世界と比べてまだまだユーザーが多くありません。これが日本で一番大きな課題です。
BIMobjectとしてもそうですし、日本の建設業界の将来を考えても大きな課題になるはずです。世界が急速にBIMへ移行している現況において、日本の導入の遅れは世界から取り残される大きな要因になってしまうと思います。

日本の特徴のひとつとして、各企業のネットワークセキュリティレベルが非常に高いことがあります。クラウド系はすべてNGという会社もあるため、現場の方から「使いたい」とご要望をいただいてもお応えできないケースがあります。

また、世界から評価される日本企業の良い面でもあるのですが、各商品の細部へのこだわりが強い点も特徴としてあげられます。例えば、ドアノブの曲線へのこだわりが強く、わずかながらも形状が違うものにしたくないといった具合です。

さらには、日本の場合は各社それぞれが独自でBIMデータをつくりたいといった要望もあります。大手建設会社などはBIMのソフトウェア自体をカスタマイズしているケースも多いため、それぞれにデータを調整しなくてはなりません。

そういった様々な事情や背景も日本でBIMが浸透するのに時間がかかる一因になっていると思います。日本の良さを残しつつ、可能なものはスピード感をもって変化していく。そういった姿勢が業界全体に必要になるのではないでしょうか。

BIMobject Japanの今後の展開について

まず、数字的な目標でいうと、日本市場で10年以内に掲載メーカー1000社の登録、設計士などのユーザー数は50万人を目指しています。また、インドネシアやベトナムなどアジア地域でのユーザーを拡大し、日本のメーカーが進出しやすい環境を整えられればと考えています。

日本のメーカー各社は、新しい市場としてアジア地域に進出を検討はしていても何処から攻めて良いのか明確にはわからないような状況にあるような気がします。 一方で、欧米のメーカーはデジタルマーケティングを使いこなし、急速にマーケットを拡大しています。

BIMobject Japanであれば、日本と世界におけるこのギャップを埋めるだけなく、非常に優れた日本の商品・商材を世界各地のユーザーに知らしめ、世界的な人気商品を作り出すといった世界をも実現できると確信しています。

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この記事はBuilders Tech編集部により作成されました。